keiBLOg.

阿刀田高 「短編小説を読もう」

 83xj9mf.jpg

(岩波ジュニア新書524)

出版社:岩波書店
ISBN:4-00-500524-1
発行:2005/12

とにかくおもしろい芥川龍之介、こんな文章を書けたらすごい志賀直哉、目を見張る設定の中島敦。子どものとき落語全集と銭形平次捕物控で短編のとりこになった著者は、好きな小説を読みあさっていく。自らの体験を通じ、また短編の作り手の視点から、ぜひ触れてほしい作品をすすめる。




短編小説の特徴は簡潔に言えば、短いこと。短いからこそ多様で多彩な話を楽しむことができる。そしてたとえ自分がその話を気に入らなくても少しの間おじゃまをするだけ、それはそれで、こんな世界もあるのかということを知ることができる。そこが短編小説のいいところだと阿刀田さんは本書の中で言っています。

そして、本人がこれまで楽しんで読んできた短編小説の数々をジャンル別、作家別に沢山紹介しています。彼の作品にはユーモアが漂っていますが、小さい頃に落語の噺が書かれた本を好きで読んでいたとのことで、それがきっと今の作風にも繋がっているのかもしれませんね。

ちなみに紹介されている作家はざっとこんな感じです。

芥川龍之介、太宰治、中島敦、アーネスト・ヘミングウェイ、井伏鱒二、山本周五郎、アラン・ポー、志賀直哉、江戸川乱歩、森鴎外、谷崎潤一郎、川端康成、など



それ読みたい!という短編が読んでいて沢山ありました。
本当に好きなことについて話している人の言葉なのでに余計に作品に引き込まれていってしまうんですよね。僕が読みたい!と思ったものを自分用のメモとして記しておきたいと思います。

半村良「箪笥」、中島敦「古譚(こたん)」(短編小説集)、大江健三郎「飼育」、松本清張「菊枕」、アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」〜「思い出」〜「帰還」、ギ・ド・モーパッサン(阿刀田さん曰く“短編の王者”)、夏目漱石「夢十夜」(“こんな夢を見た”ではじまる10編の短い夢の話)



一番興味をひかれたのは中勘助の「銀の匙(さじ)」という作品。

「恋」について書かれた長編小説(短編連作集ともとれる作品)なのですが、美しい日本文で語られる小説で、阿刀田さんが自分の文章を推敲するときに「どうもごろがよくない」と思ったときにはこの本を取り出して精読して、自分の書いた文章を書き直すのだそうです。
実際の文章が引用されていましたが、落ち着いた文体がセンチメンタルな雰囲気をうまく引き立たせています。こういうノスタルジーな話って好きなんですよねぇ。


また、1章を割いてショートショートについても書かれていて、つい先日初めて星新一のショートショートに触れた僕としては、あまりよく読み方がわかっていないので、参考になりました。もちろんその章の中では星新一の作品を引用してその魅力と作家の偉大さを述べています。
星新一の作品を読むときに大事なのは作品に込められたメッセージ性を読み取ることなのかなぁ。


阿刀田さんは最後に、「読書ほど金がかからずに楽しめるものはない。」と書いています。
そう、たしかにそのとおり。文庫本であれば数百円で買えて、自分に合うものを選んで読めば、読書というのはかなりコストパフォーマンスの高い楽しみなんですよね。

特に、僕なんかは本を読むのが遅いので、それだけ余分に長い時間楽しめる。
読める作品の数が少なくなってしまうとも考えられるけれど・・・

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://kei50.blog96.fc2.com/tb.php/30-073254b2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

FC2ブログ 紹介予定派遣