翻訳:沢万里子
創元推理文庫(M ク-6-1)
ISBN:4-488-19304-8
発行:1999/02(新装版版)
11歳の義弟コリンを連れ、妻が待つサンフランシスコを目指し、サンダーバードで大陸横断の旅に出た新婚のアレックス。が、一台のヴァンがどこまでもつけてくる。これは偶然なのか?じりじりと迫る妄執の影を背に、楽しいはずの5000キロの旅は悪夢の逃避行となった!若きクーンツが'70年代アメリカの現実を直視し、緊迫の筆致で描いたサイコスリラー。(『狂った追走』改題)
小説を読もう!
ちょっと前にそう思い立ってブックオフに行って気になる本を数冊買ったのですが、これはそのうちの一冊。
今まではそもそも小説っていうと、サリンジャーの「ライ麦畑」とか、ドフトエフスキーの「罪と罰」とか、太宰治の「人間失格」とか、夏目漱石の「坊ちゃん」とか、名の知れたものからほんとにちょこっとつまむ程度しか読んだことがありませんでした。
それも中学、高校のときに一時的に読んでた時期があっただけで最近ではほとんど小説を読まなくなっていたのですが、最近また小説が読みたくなりまして。
せっかくだから自分が今まで読んだことのないようなジャンルのものも読んでみようと思って選んだのが、このディーン・R・クーンツの「ストーカー」。
読んでみても感じたのですが、この本のジャンルって何なんだろうか・・・
僕はあまり小説を読んでいないのでジャンル分けについても詳しく知りません。なんせ、純文学とはどんな内容の小説か、それすら最近知りました。
なのでこの小説がどんなジャンルに属するのかいまいちわからない。
スリラー、サスペンス、ミステリー・・・
なんとなくですけど、僕の中では「サスペンス」かなということでこの記事のカテゴリーも「サスペンス小説」にしておきました。不安な気持ちにさせる小説だと思ったので。
調べてみたら、ディーン・クーンツっていう人はジャンルごとにきっぱりわけて小説を書くよりもいろいろな要素を混ぜて書く作家みたいですね。そういう発想って好き。
上に簡単な内容が書いてありますが、話の筋からいくと、スピルバーグの「激突!」が思い起こされます。ただ、あれはたしか犯人がずっとわからないままだけれどもこちらは読者には誰がストーカーなのかが序盤ですぐに知らされています。
追うものと追われるものの視点にわけて書かれているので、読んでいて緊迫感があります。
特に、追われる側のアレックスと追う側のストーカーが直接対峙する場面はとにかく丁寧な描写で引っ張るのでドキドキさせられます。
でも、ちょっとだけ長い気もしましたね。結末の部分は一気に駆け抜ける感じでいいけど。
あと、ちょっと気になったのは時おり出てくるベトナム戦争のくだり。この部分はなんか周りから浮いていて余計な気がしました。
読後感はあんまり後味のいいものではなかったですね。
なんででしょう、こういうジャンルの本って大体こんな感じなんでしょうか。
結局読み終えてみると、なんか大変なことになっちゃったね、怖いですね。っていう感じで、あんまり感慨がないというか・・・
もちろん、「涙が出る=良い映画」ではないのと同じように、「読後感が悪い=悪い本」ではないのでしょうけど。
結構楽しめたのも事実で、精神異常者に追われて命を狙われるという内容なのに、ただおどろおどろしいだけでないのは、やっぱりコリンの存在があるからなんでしょうか。
年齢の割りにませた少年のコリンと、義兄弟のアレックスのコンビのやりとりは微笑ましくて好感が持てました。
あとは、コリンにしてもアレックスにしてもキチガイストーカーのリランドにしてもきちんと人間の内面を書いている、心情の変化が書かれているところがあったから、きちんと物語の中に入り込めたのかなと思います。
ディーン・クーンツ。
米国と比べて日本ではあまり知名度も人気もないらしいですが、なかなか凝っている小説を書く人だと感じました。別の本も読んでみたいです。


