幻冬舎文庫(お 7‐8)
出版社:幻冬舎
ISBN:978-4-344-40936-1
発行:2007/04
これからあなたに幾つかの質問をします。
ここで話したことが外に出ることはありません――。
2002年2月11日(祝)午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず――。
次々に招喚される大量の被害者、目撃者。しかし食い違う証言。店内のビデオに写っていたものは?立ちこめた謎の臭いは? ぬいぐるみを引きながら歩いてた少女の姿は? はたして、これは事件なのか、それとも単なる事故か?
謎が謎を呼ぶ恩田陸ワールドの真骨頂!
あるのは、Q&A形式のセリフのみ(途中から普通の会話になってますが)なので本来は地の文で書くであろうこともセリフの中で説明をします。
読み始める前は、ちょっと読みにくいのかな。と予想していたのですが、案外スイスイと読み進めることができました。ただ、もうちょっとテンポよくトントン話を進めてほしいんですよね。
読んでいて、これって本当にこの小説の話に必要なことなのかなっていうのを感じる部分が多かった。「いいからその話」っていうのがところどころ出てくる。随分おしゃべりが好きな人たちだと思いながら読み進めていきましたが。
この作家は自分が主張したいことを小説中によく登場させるんですね。
言っていること自体はよくわかるのですよ。メディアというものにかなり言いたいことがあるんだろうなぁとか。調査者とその知り合いの脚本家の「事実は嘘をつく」、「人の目の数だけ事実がある」というやりとりも「うんうん」という感じだし。
「理由がないことくらい現代人にとって恐ろしいものはないんだ」というのもその通りだと共感します。
でも、小説の展開としてそれはどうなのか・・・
ここに挙げたもの以外にもごまんと作家の主張みたいなのが作中にでてきてます。ちょっと、それが多すぎて僕には邪魔に感じました。
ただ、僕としては、余計に感じられる部分があってもきちんと最終的には、もしくはある時点ではちゃんと意味のあるものになるんだろうなと信じて読んでいきました。
それにそれぞれの会話が少しずつ繋がっている気にさせるので、こちらの興味は続いていきます。そういう進め方の部分は本当にうまいんですよね。
また、事件のエッセンスというのもいい。
奇妙な雰囲気を醸し出す夫婦の話とかは、とても興味をひかれました。
いろいろと考えさせられる、想像させられる事柄が散りばめられていて、読んでいて楽しいのです。
次第に、「あ、これやっぱり繋がってるんだな、これがあの人でこの人の友人が調査者で、ん、この女の人はたしか・・・」などなど頭の中で関係図を整理しているうちにだんだん頭がこんがらがってきて、まあ最後まで読めば、きっとスコーンと関係を明らかにしてくれるんだろうと思って読んだら・・・
え、何これ?これで終わりかい。というね。
正直、ガッカリでした。
「事件の真相」については別に不満はないんですが、ほったらかしになっていることがいろいろあった気がしてなんともモヤモヤ感がいっぱい。
最後のほうに行くに連れて読者である僕の目の前から綺麗に話がフェードアウトしていきました。まるでそれまで親しくしていた友人に突然そっぽを向かれたような気分・・・
いや、まてよ、末尾に解説が付いてたから、きっと解説の中できちんと説明されているんだろうと思って読んだら、やれオウム真理教がどうのスーパーマーケットという空間がどうのこうので、結局知りたかったことは知れずじまい。
これこんなに長い必要あったんでしょうか・・・いや、ないね(`・ω・´)キッパリ
余計な部分、つまり思わせぶりで読者を混乱させる部分を省いてもっとスッキリ話が展開されていけば、最後まで読んで多少がっかりしても、「ん〜なるほど、あそことあそこは関連そのものはあるけど別に大層な意味はないんだな。」とかって納得できるのですよ。
(ジェームス・キャメロンの映画「キャストアウェイ」なんかそんな感じであまりしっかりとした結末はない映画でしたが不満には思いませんでした。)
最後なんてめちゃくちゃカルト的な話しで締めくくられているし、なんかだかなぁ
ついでに言わせてもらうと、会話の中に
「TVドラマとか映画とかでこんな奴いないよ、こんな台詞言わないよとかって文句言うけど普通の人のほうがよっぽどTVドラマ臭い台詞言ってる」というようなことが書いてある箇所があるのですが。
最後まで読んでみると、なんかこういうことを文中に織り交ぜるのも言い訳がましいよなぁと思ってしまいます。言わせてもらえば、この小説だって、会ったばかりのやつとこんな話しね〜し、ぺらぺらとこんな長いことしゃべらね〜よ、っていう話ですよ。「渡る世間は鬼ばかり」じゃあるまいし。
小説には小説の表現方法・世界観というのがあって、読者はその中に入っているんだから、よほどの違和感やきちんと整っていない歪な台詞以外は文句なんて言わないです。
この小説だって全てが台詞だけで構成されているけど、僕はまったく違和感はありませんでしたよ。それを、「お前ら文句言うなよ」なんて言うからなんかむかっとくる。(ごめんなさいね、これ単なる僕の被害妄想かも。)
もともと、この本を読んでみようと思ったのは爆笑問題の太田がラジオで絶賛していたからなのですが(実は前に紹介した「対岸の彼女」もそうです)
この本を絶賛している人って、さぞ、頭脳明晰で「他人とは違う」選ばれた人なんだろうな。
僕みたいな読書量も多くなくて、理解力もあまりない幼稚な読者には納得のいかない後味の悪さだけが読後感として残りました。頭の悪い読者は読むなっていうことなのかな。(ごめんなさいね、これも被害妄想かもしれないですけど)
もちろん否定はしません。これが好きな人もいるんだろうから。
この小説の中にも似たようなことが書いてあったと思いますが、「こっちはよくて、あっちはダメだからあっちは一切排除する」なんていう考え方は僕も好きじゃありません。
なので嫌いな人が読まなきゃいいだけの話です。だから僕はもう読みません。
少なくとも僕が今よりもっとスラスラ本を読むことができるようになるまでは他の恩田陸作品に手を出すことはないかな。
こんなこと書くと、一冊で判断するなんて「現代はすぐに結果を求める」、「木を見て森を見ず」、「結末だけで判断するな」とか作者から言われてしまいそうですが。
とりあえず他の小説家で気になる作品からまず読んでみようと思います。
きちんとしてないまでもある程度まとまったオチを期待していただけに、読み終えてみると「なんでこんなに思わせぶりな小説書くんだろう」という感想でした。
それと、世の中に対して意思表示をしたいことがあるのなら小説とは別に評論の形式で書いたらいいのに。恩田陸が書きたい小説と僕が読みたい小説がかなり違うっていうことなんでしょうかね。
はぁ・・・おなかすいてすいてしょうがないのを我慢して200ページぐらいから最後までいっきに読んだのに・・・


